第1回畏国縦横無尽ウルトラクイズ

エピローグ

 あの戦いから数ヵ月後。再びガリランド商工会議所青年団である。
「平和って……いいっスねぇ」
 新人のぼんやりとした呟きに、その場にいた全員が頷いた。
 もう思い出すのが恐いほどのハードな日々から──大会の詳細を記した本の編集もようやく昨日終わった──解放され、今はのんべんだらりとしていても誰からも怒られないというすばらしき日々。
「ただ……」
 さっそく寄せられた感想の手紙を仕分けしつつ別の新人スタッフが口を挟む。──大好評らしくて来年もやってくれないかってお便りがたくさんきてるんです。
「……」
「無理だ! 無茶だ! 却下却下!」
 口を縦にあけ、目を点にしてその場の全員が叫ぶ。ある者は風呂桶を持ち出してベルベニアに去ろうとし、ある者は部屋の隅で鬼火に囲まれ、そしてある者は……。
 とにかく、甚大な疲労と楽しさとトラウマを青年団のメンバーに残し、こうして畏国縦横無尽ウルトラクイズは幕を閉じた。
 なので、以下の会話は蛇足である。
「なあ、優勝したのって結局誰なんだっけ?」
「あ、そういえば」
「誰もがほしがる商品って何だったんだろう?」
「あ、そういえば」

 ……それは秘密。

データ

<終>

あとがき

2004年3月に発行し、その後長らくPDF形式で配信していた作品をサイトに掲載しました。ダイジェスト部分など同人誌とレイアウトが異なっている部分があります。また、本文およびルート紹介の画像をところどころ修正(ラムザは三男坊、とようやく直せました)しています。

とにかくウルトラクイズだキャッホーと勢い任せで当時書いたのですが、あれからもう15年。…ウルトラクイズを知らない方ももちろんいらっしゃるというわけで、いや、2004年の時点でもそれは危惧していたのですが…まあそれは置いておいてお楽しみいただければ幸いです。ちなみに、書くのはとても楽しかったです。資料(ウルトラクイズの本が図書館にあったときは感動しました)を調べるのも、ルートを考えるのも、クイズ形式を考えるのも、どこで誰が落ちるか考えるのも…いやあ、楽しかった。

※ 問題作成など参考にさせていただいたサイト:Gs' Cemeteryさま

2004.03.21 / 2019.06.19