花の都・ルザリアで参加者はちょっと観光気分。スタッフからは特に何も言われず、お小遣いまでもらってしまって麗しの都を堪能したその日の深夜に事件は起こった。
ぐっすりぴよぴよと眠りについた参加者達を突然スタッフが起こしていく。寝ぼけマナコの彼らにマメさんが一言。「まだ観光し残しているところがあるぞ~」。一部の猛者を除き殆どの人間がフラフラになりながら荷物をまとめ、向かった先は有名なとある廃坑。そして、そこには当然のようにクイズのセットが。
「真夜中のミステリーツアークイズを今から行う!」 やたら元気なマメさんにもうどうにでもして~な参加者達であった。
ここで勝ち抜けるには早押しで5問先取する必要がある。上位11名が次のチェックポイント「グローグの丘」へと進むことができる。
我々は意外な結果を見た。なんとアグリアス殿(嬢と呼んだところ、睨まれた)が敗者となってしまったのだ。普段一緒に行動することの多いラムザ氏によると、「休みの日は寝起きが悪いみたい」とのこと。意外である。そんなアグリアス殿への罰ゲームは廃坑のトロッコで廃坑一周。断崖絶壁も飛び越え、眠気もさめた?
ルザリア地方最大の穀倉地帯、グローグ。なだらかな丘陵であるこのグローグだが、ところどころ階段上の丘になっており、雑穀類や薬草類が栽培されていることはつとに有名だ。その薬草として近々注目を集めているのが「とまと」なる果実。夏の終わりに真っ赤に熟れるこのとまとをグローグの新しい名産にしよう!と村の青年団ははりきっている。
そこで数年前から始まったのがとまとを使ったある「ゲーム」。その名も「とまと戦争」と言われるこのゲームをスタッフたちが見逃すわけはない。参加者たちにはこっそりとスタッフと青年団は作戦を重ねた。
当日の朝、参加者たちはゴーグルとなべのふたを渡され、グローグでいちばん勾配のきつい丘に連れて行かれた。その両脇に待っているのはとまとを持ったたくさんの地元の人々。そしてはるか前方にはマメさん。つまり、矢のように飛んでくる硬いとまとを避けながら丘を駆け上り、最初に2ポイントを先取するという、本大会でもっとも過酷なクイズが幕を開けたのであった。
あまりにも過酷なこのクイズを一抜けしたのは、何とレーゼ・デューラー嬢。農民の皆さんがたくましそうな騎士系の人間を狙ったのが幸いしたのか、ほとんど汚れずに勝ち抜けてしまった。逆に悲惨だったのは、綺麗好きなメリアドール嬢。騎士姿だったために余計に狙われ、とまとまみれで敗者となってしまった。
かつては五十年戦争の要塞としてその強固な城作りが褒め称えられたゼルテニア。今は、ゴルターナ公の居城として、また、南天騎士団の拠点として重要なこの地で行われたクイズは「クイズ!イヴァリース陣取り合戦」。「イヴァリースの今」をついでに勉強しちまおうという魂胆である…が、現役でイヴァリースの今を作り上げている参加者もおり、戦いは熾烈を極めた。
クイズは2問正解すると、五十年戦争終了時点での子爵以上の領土を指定することができる。これを繰り返していき、イヴァリースの1/7の領土を獲得できたら勝ち抜けである。
ここでの敗者はひとり。戦争の生々しい傷あとを残す城壁をバックに、知力と戦略の戦いが繰り広げられた。
ここでの一抜けはやはり現役・戦略と謀略のハザマに生きるディリータ・ハイラル氏であった。自らの上司であるゴルターナ公のゼルテニア領を指定し、たった1回で勝ち抜けというまさに「速攻」技。一方、惜しくもここで敗者になったのは冒険家のアジ氏。冒険家ということもあり、世事には強いはずとスタッフや他の参加者も考えていたが、本人曰く「相手が悪すぎる!!」。それももっともである。そんなアジ氏に贈る罰ゲームは南天騎士団一日軍事演習。勝手気ままをよしとするアジ氏の顔に縦線が入ったのは言うまでもない。
ザーギドスの先の街道を行けば、そこはもう異国・オルダリーア。そのためにザーギドスもまた戦争の爪あとが深く、街はくすんでいる。が、よく見ると、異国風の商人が市場で元気よく声をかけていたり、オルダリーア特有の色合いを持つ布をご婦人がたが身にまとっていたりと、異国情緒が溶け込み、独特の魅力を生み出している。
そんなザーギドスで行われたクイズは、花売りエアリス嬢のご協力を仰いだ「この花なあに?」クイズ。前チェックポイントのゼルテニアとはうってかわった華やいだクイズは、3ポイント先取の後、エアリスさんがかかげた花の名前をプレートから選択して答えるものである。
ここでの敗者はふたり。ここを抜ければ決勝はもう目の前だ。
一抜けはエアリスさんなみに花に強いレーゼ・デューラー嬢。スタッフの誰もが知らなかった花の名前を一発で当て、早々に勝ち抜けた。その後は花にあまり明るくないメンバーの泥仕合となり、2時間後、敗者が決定した。ひとりはここまで知力のみで粘ってきたと評判のクレティアン氏。上司でもあるヴォルマルフ氏の冷たい視線を受け、思わず花を持ってひきつった微笑を見せていた。そしてもうひとりは何とレーゼ嬢の恋人・ベイオウーフ氏。これから離れ離れとなるふたりは別れを惜しんだが、その後ベイオウーフ氏とクレティアン氏が罰ゲームで即席花売りさんに化けたのを見てレーゼ嬢が笑い転げてしまったのを特に追記しておこう。
ライオネル領への入り口である城壁都市ザランダの別名は「空中都市」。山々に抱かれるようにして成り立つこの街に入るには、古代ユードラの代に築かれた、山のふもとから都市までの「空中階段」をひたすら昇って辿り着くのが一般的だ。その段数は1024。昇るのもなかなか辛いが、降りるほうが足腰にくる、という恐怖の階段である。
ここで行うクイズは当然この階段を使ったもの。クイズの解答はすべて数字であり、その段数分だけ階段を昇ることができる。間違えた場合は正解の段数分降りることになり、あらゆる意味でデンジャラスなクイズだ。階段を昇りきったら勝ち抜けとなる。
勝ち抜けることができるのは4人。次はいよいよ準決勝・ゴルゴラルダだ。
敗者となってしまったのは紅一点のレーゼ・デューラー嬢。体力的にも(たぶん?)厳しかったところがあるのは否めない。そんな彼女に捧げる罰ゲームは、最近ザランダで流行の「空中遊歩」。丘の上にあるという都市地形をいかし、大きな布の翼で空に舞うというちょっとぞっとする新感覚スポーツである。かつてはドラゴンでもあったレーゼ嬢だが、ドラゴンであっても空は飛べない。スタッフも見守るなか、真っ青な顔で「お散歩」を楽しんだのであった。