閉め切れてはいなかった扉の隙間から、居室に灯したままだったクリスタルランプの光が細く入り込んでいた。
ほのかに青みを帯びた光は、眩しくはなかった。ただ、心地よい闇に包まれたこの空間をはじめから覗き込まれていたようにも思えて、ディオンは僅かに顔をしかめる。ランプを灯したのも、敢えて消さなかったのも故あってのこと。しかし、寝室の扉を閉めそびれたのは不注意だったといえるだろう。自室の外で彼がどう衛士に対応したかは不明だが、とそこで考えを中断した。
差し込む光で、ぼんやりと辺りの様子が分かる。そう、隣で眠る彼のことも。
久々に、寝顔を見る。それが少し嬉しくて、思わず頬が緩んだ。――常ならば、こうして共に眠りに就くことなどないのだから。
正確な刻限は分からないが、時は未だ夜の範疇だろうとディオンはそう当たりをつけた。そうとはいっても、彼が此処にやって来た時には真夜鐘が鳴り終わった後だったから、あれから数刻ほどといったところか。寝入ったのは半刻にもなっていないかもしれない。
己を抱きかかえたまま、束の間の休息を得ている彼。その眠りを遮りたくはない、と理性では考えつつもディオンは身じろぎをした。
彼の鎖骨に口づけ、そのまま吸う。少し考え、首筋にも。痕付けのためにややきつく吸ってみると、んん、と小さな呻き声。その声に未だこわばっていた心が解け、ディオンは彼の耳朶を舐めた。
名前を呼ぶ。そして――。