季節は巡る。春が来て、夏になり、秋を迎え、冬を越え。
ある日、男は終わりを告げた。そして、別れを。
そのとき、女は目を見開いた。そして、小さく頷いた。
落ち葉が煌めく、秋のことだった。
季節はそうしてまた巡る。
風が吹く。風が吹く。
木々から振り落とされて小さくなった水滴を跳ね飛ばすかのように風が吹き、雫は初夏の空へと消えながら最後の光を戴く。
きらきらと瞬くそのさまはとても儚くて、ただ綺麗だと思った。
星を見上げては時が消えるようなそんな日々。
過去に光を当てては時を消すようなそんな日々。
それももうすぐ終わる。そして、この先には──。
時の、先には。
引っ張られるような感覚にふと足を止め、旅中の女は空を仰いだ。
何もない、ただの青空。それでも、何かを感じた。
煙に切り取られた空の色は青。男はその青を見つめ、そっと笑った。
空の彼方に、と願った。懐かしき者達のもとに。時の向こうに。
──自らの想いのもとに、と。
あとがき
2020年6月に発行した「STARWALKERS」の再録作品です。公会議直前~公会議の時間軸です。今まで書いた拙作から切り取った形になっています。短い話(話?)ですが、書けてよかったです。
2020.06.20 / 2023.01.26