第23回 FFT版「時の娘」

 前回のコラムで散々エンディングについて書いたのに、まだまだFFTのコラムを続ける気でいるらしいSarururu。友人にも「なんだかんだ言って好きなんじゃないか」と言われました。いやはや、本当に不思議ですね。好きだからこそあれこれ言っているというのも勿論あるのですが(笑)。
 そんなわけで、今回はちらほらとあちこちに登場している「時の娘」という小説のFFT版です。

 「時の娘」と小説がどういうものかというと、ここまでコラムを読んできた人には分かるかも知れませんがいわゆる「安楽椅子探偵もの」です。探偵役にはグラント警部、ワトソン役には(便利な言葉だ)アメリカ人の青年。グラント警部はマンホールに落っこちて足の骨を折るというマヌケな所業のために入院加療中。暇で暇で仕方のなかった警部は、ある肖像画がきっかけで、その後知り合うことになるこの青年と共に中世英国史へと旅する、というものです。

 さて、ここで取り扱った謎といえば、それは「ロンドン塔の2人の王子」でした。今でもイギリスを中心として喧喧諤諤の論議が起こっているこのテーマ。平たく言うと15世紀後半にエドワード4世が死去した後、イングランドの王位に就いたのはその子供のエドワード5世。しかし、摂政役についたグロスター公リチャードは自分が王冠を抱かんという野望のために、このエドワード5世とその弟のヨーク公をロンドン塔に幽閉します。その後、この2人がどうなったのかは分からないのですが、シェイクスピアの史劇ではリチャードがティレルなる男に子の2人の王子を殺すように命令したというシーンが出てきます。というのが一般の通説。
 でもって、警部とアメリカ人青年はこの謎に「ミステリー的な観点」でもって立ち向かうのですが、それはまあおいときましょう。ちなみに私は年表の流れからやはりリチャードサイドが黒なのでは、と思っていますが……。

 FFTでもこれによく似た謎が登場しますよね。そう、ベスラ要塞に幽閉され、その後どうなったのかよく分かっていない元王妃のルーヴェリアさん、そしてその子供であるオリナス王子です。一体この2人ってどうなったんでしょうか?やたら影が薄かったのでそのまま、だったような気もします。

 考えられるパターンとしては3つくらいがあると思います。それは、

  1. 監視の下にベスラなどで不自由な生活…オリナス王子は修道院かな
  2. 脱走して反乱の機会を伺う
  3. その前に国王(ディリータ)によって処刑される

 まず2のパターンはないかと思われます。ヘンリー7世の時も即位後の1487年6月にヨークの王位継承権者と戦っていますが、FFTの場合それはないんじゃないかと。もし、オヴェリアの死亡がその理由と共に明らかになるのであればありうるかもしれませんが、しかし「あの」ディリータの場合だとそれも見透かしてしまいそうです。
 残りの1と3ですが、私はやっぱりこの場合だと3が有力だと思います。彼らを担ぎ上げようとする勢力も現れると思います。しかし、その前に現体制側が隠密裏に……ということはありえそうです。ただ、もし世論というものを気にするのならば、一番良い方法はどこかの城に幽閉してしまうというものでしょうね。

 FFTは獅子戦争の流れを追うものなんですが、実は私たちが見ているのってばかなり外れた見方をしているんですよね。偏ってるともいいます。実際のラーグ公とゴルダーナ公の争いなどがなかなか伝わってこないので、この件については後々検討してみる必要がありそうです。2のバージョンも考え様によっては面白いかもしれないと思っているSarururuでした。シムネルの反乱FFTバージョン?

1999.06.21