戦乱のイヴァリースを自分の信念について駆け抜けたラムザ。誰にもなんらかの謎があるように、彼にもやはり謎や疑問はあるのです。アラズラムさんはラムザの生き方を賞賛していますが、ところがどっこい素直に賞賛するには少し、ラムザには足らない点があるのでは…そう思うのです。 今回はその「?」なところや素朴なラムザへの疑問を探ってみます。まず最初は軽いものから。
ラムザの髪型、第一章では後ろにちょこんと結んだセミロング、それでもって1年後の第二章以降はショートボブ(マッシュルーム)になっています。で、この二つの髪型いずれにも共通するのは、前から後ろへくりん、となった髪の毛。寝癖なのか、それとも天然なのか、それとも髷かなんかなのか……。見れば見る程分からないラムザの髪の毛。ありゃ一体なんなんでしょう?
残念ながらこの問題に討論の余地はありません。だってそうなってるんですから…そう、クラウドのツンツン頭のように、製作意図は製作者にしか分からない点でありましょう…
またもや髪の毛ネタ。第一章〜第二章へと変遷するにあたり、ラムザの顔つきや髪型も違うものになっています。その中でやはり一番大きな変化は長い髪を切ったこと。一体何故?これは色々議論すると面白いことなのかも。推測をいくつか挙げてみました。
さあ皆で考えよう!…じゃなくて。2と5は似ているようですが、少々異なります。2は過去を捨て去る必要はありませんよね。気分転換のために切ったという意味となります。5の場合は言葉通り、今までの自分を(色々な意味で)捨て去りたくて、そのために切った…つまり過去への訣別となりましょう。
さて。この中で考えられるのはどれでしょうか。
それでも、2と5はやっぱりあるんだろうな、と思います。5が強くて2はサブでしょうか。また、ギャグのようですが意外に3も当てはまるかもしれません。で、大穴は1。
私としては、ラムザは第一章のラスト、ジークデンでのことがあって1週間くらいしてから髪を切ったのではないかな、そう思います。気持ちの整理をつけるのに1週間はかかるんじゃないかな…と。何せ、今まで描いていた人生とはあまりにも違う道を、彼は自分で選択したのですから。
アラズラムさんは絶賛していますが、そうは思えない部分もあるラムザの行動。例えば「世の中を変えれると思うほど僕は…」というセリフが出てきますが、これは裏を返せば無責任にも繋がります。何か思慮があっての言葉であるならばまた話は別なのですが、彼の対応は結構その場しのぎ。仕方がないことなのかもしれないけど……。
彼の場合、単独行動だったこともありますが、全体の大きな流れを見渡せていないことが、最大の欠点ではないでしょうか。ディリータにあってラムザにない、それはつまりここの部分だと思います。
ラムザは自分が正しいと思えば、和と力をもってそれを実行(ゲーム内では他の「正義」を阻止する立場でしたが)するでしょう。しかし、もしかしたらその一時感じた「正しい」は後に、諸刃の剣となって彼自身を襲うかもしれない…その危険性を彼は考えません。また、起こりうる可能性についての対応もある意味後手後手。……うー、頑張れラムザ。
で、ラムザが守ろうとしたのは一体何だったのか。ラファは「あなたは目の前で起こっている不正を許せないだけ」とラムザを評していますが、これって褒め言葉?と首を傾げた私です。でもって、そのラムザが目指したものは何だったのか。彼は真実を手に入れたわけですが、それは実は彼と共に行動した者しか知り得ないところとなっています。つまり、ラムザは自分のやっていることを隠密裏に処理したかったのではないか……勿論異端者という立場というのもありますが、そう思います。
そうして彼が目指した世界は甚だ不透明。戦争を防ぐ、防いだその後はどうなる?……非常に政治的な事々ではあります。しかし、獅子戦争を実際に終結に導いたラムザの胸中には「平和」ということだけしか…浮かんでたわけではないと思うのですが。厳しい見方をするとこうなっちゃう私でした。
1998.05.05